Rufus Wainwright

【MUSIC REVIEW】

Rufus WainwrightRUFUS WAINWRIGHT』,1998

例えば三ヶ月に一度、ひとりぼっちで夜を眺める。時計の針が午前一時を回った頃、私は無性に彼の音楽に会いたくなる。なぜだかわからないけど。

カップの底に溜まった砂糖の塊のような―もしも彼の声を何かに例えるなら、私はそんな風に言うだろう。のどを焼くように甘ったるいのだけど、静寂の続きのように透明な。私はそれを、欠片が壊れないように、少しずつ、少しずつ、口に運ぶ。彼の声に誘われて、時間がゆっくりと深呼吸を始める。私は前も後ろもない空間を、やわらかに、ゆらゆらと漂う。私は目を閉じる。眠っているのか、起きているのか、わからないけど、そんなことはどうだってよいのかもしれない。

夜というものはいつも、私を不安にさせる。暗闇に漂う暗闇は、腐った魚の目をしている。彼の声が夜という瞬間に溶け出すとき、私は解放される。あらゆる束縛と、あらゆる寂しさを越えて。

例えば三ヶ月に一度、私は枯渇する。彼の声と、彼の音楽を。毎日はちょっと、疲れちゃうけど。

Text by NANASE