例えば自分の表層が、やわらかい泡の粒であったら。息が身体を揺らすごとに、私を縛り付けていたあらゆる意味は、未知なる無意味の内部へ溶け出す。油断すれば、すぐに消えてしまう、波の戯れや、空に浮かぶ巨大なザリガニのような。瞬間という、得体の知れ…

【BOOK REVIEW】 Alice Tegner/Annie Petersson/Elsa Beskow『NU SKA VI SJUNGA』(1943,Almqvist&Wiksel)こんにちは、いかがお過ごしですか。桜の花はあっという間に散ってしまって、木々たちはすっかり初夏の装いですね。スウェーデンの古都ルンドの古本屋…

【ART REVIEW】 アンドレアス・グルスキーの写真が訴えるものは何か。それはこの世界に存在する果てしない同時多発性である、と私は思う。ストックホルムの現代美術館で見たグルスキーは、あまりに力強く、あまりに繊細であった。スーパーの棚に所狭しと並べ…