2008-01-01から1年間の記事一覧

恢復の物語としてのCOPELAND

【MUSIC REVIEW】COPELAND[In Motion](2005/アメリカ)他すべてのアルバム ロックという音楽が持つ最大の特質は、それが抵抗の歌(レジスタンスソング)であり得るという点だろう。つねにそうであるわけではないけれど。時に…。ロックという音楽は時に体…

ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス

【BOOK REVIEW】 ジャネット&アラン・アルバーグ『ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス』佐野洋子訳(1992年、文化出版局)メリークリスマスイヴ!一年の流れは早いもので、あっという間に年の瀬がやってきましたね。さて、今日はクリスマスにちなんで仕掛け絵…

どろんここぶた

【BOOK REVIEW】 アーノルド・ローベル『どろんここぶた』岸田衿子訳(1971年、文化出版局)好きな絵本は数え切れないほどあるけれど、もしも一冊だけ選べと言われたら、きっと私はこの絵本を選びます。第一“どろんここぶた”なんていうちょっとまぬけな名前から…

Psappの音楽

【MUSIC REVIEW】 Psapp『THE ONLY THING I EVER WANTED』,2006年今日はイギリスのエレクトロニック・ポップ・デュオ、Psapp(サップ)をご紹介します。彼らの作り出す音楽は少し変わっていて、使われるのはおもちゃの楽器、ぬいぐるみ、灰皿など個性豊かなガラ…

蜷川実花展-地上の花、天上の色-

【ART REVIEW】 こんにちは。先日、東京オペラシティ アートギャラリーで開催されている「蜷川実花展-地上の花、天上の色-」を訪れました。本当に素晴らしい展覧会だったので、ご紹介したいと思います。最初の部屋に入るとまず、白い壁一面に掲げられた巨大…

送料無料キャンペーンのお知らせ

■送料無料キャンペーンのお知らせ■期間:2008年12月1日(月)〜9日(火) 12月1日(月)〜9日(火)、期間限定「送料無料キャンペーン」を実施します。期間中に商品をお買い上げくださった場合、何冊でも(もちろん1冊でも!)全国送料無料で商品をお届けいた…

The Velvet Underground & Nico

【MUSIC REVIEW】 『The Velvet Underground & Nico』(The Velvet Underground & Nico,1967年)こんにちは。いよいよ本格的な冬の訪れですね。今年の東京の初雪はいつごろでしょうか。今日は、アルバム『The Velvet Underground & Nico』をご紹介します。これ…

きりのなかのはりねずみ

【BOOK REVIEW】 ユーリー・ノルシュテイン/セルゲイ・コズロフ/フランチェスカ・ヤルブーソヴァ『きりのなかのはりねずみ』こじまひろこ訳(2000年、福音館書店)こんにちは。ますます冷え込んできましたね。こたつとみかんが恋しい今日この頃です。さて、今…

踊りたいけど踊れない

【BOOK REVIEW】 寺山修司/宇野亜喜良『踊りたいけど踊れない』(2003年,アートン)>手は勝手に書いていた 足は勝手に踊っていた とりのこされた あたしはひとりぼっち夜になっても眠れない>もんだいは あなたのなかに小さなもうひとりのあなたがいるかどうか…

茂田井武展

【ART REVIEW】 こんにちは。今日は練馬区のhttp://www.chihiro.jp/tokyo/で開催されている〈生誕100年 愛と記憶の画家 茂田井武展〉をご紹介します。茂田井武は、戦中から戦後にかけて絵本や絵雑誌の仕事で活躍した画家です。彼の残した数多くの作品は戦後…

I LOVE HONZI.

【MUSIC REVIEW】 早川義夫・佐久間正英・HONZI『I LOVE HONZI』,2008年先日、吉祥寺で開催された“HONZI LOVE CONNECTION”というライブに行ってきました。昨年の9月に病気で亡くなった鬼才のバイオリニスト・HONZIの追悼ライブで、出演者はフィッシュマンズ…

ガルシン短編集

ガルシン『紅い花 他四篇』神西清訳(1937年初版/岩波文庫)こんにちは。今日は、ロシアの作家フセーヴォロド・ガルシン(1855-1888)の短編集を紹介します。精神的病に侵され若干33歳という若さで狂死したガルシンは、その短い生涯の中で20篇の作品を残しました…

うたかたの日々

ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』伊東守男訳(2002年,早川書房) 儚いものは、美しい。古くからあらゆる文学や芸術において考えられてきたこの概念が、純粋で透明な一編の物語として見事なまでに昇華された作品。それが、ボリス・ヴィアンの『うたかたの日…

マザーグースのうたがきこえる

【BOOK REVIEW】 ニコラ・ベーリー『マザーグースのうたがきこえる』由良君美訳(1978年/ほるぷ出版)こんにちは。ずいぶんと寒くなってきましたね。通り抜ける風の匂いに本格的な秋の訪れを感じます。今日ご紹介するのは、イギリスの女流画家ニコラ・ベーリー…

シュルレアリスム宣言

【BOOK REVIEW】 アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』巌谷國士訳(1992年/岩波書店)ブルトンは言います。“きっぱりいいきろう、不可思議はつねに美しい、どのような不可思議も美しい、それどころか不可思議のほかに美しいものはない。”20世…

ちょうどよい、距離。

工藤直子文/長新太絵『ともだちは海のにおい』(1984年,理論社) 人と人の間のちょうどよい距離っていうのは、こういうことだな。『ともだちは海のにおい』を読んでいると、そんなことを思います。運動が得意ないるかと、ビールと読書が好きなくじら。ふたりは…

七尾旅人の音楽

【MUSIC REVIEW】 七尾旅人『ひきがたり・ものがたりvol.1 蜂雀(ハミングバード)』,2003年今日は、鬼才の日本人アーティスト七尾旅人をご紹介します。1979年生まれの若い歌手で発表作品もそれほど多くはありませんが、その斬新な音楽世界は既に多くのアーテ…

美しいものはただそれだけで用を為しているから(前編)

ふだん、国内外の実にたくさんのアートブックや作品集を見る(「たくさん」とは、たとえば週に1000冊くらいです、おおよそ)なかで、すぐれたアート作品とそうではない作品がどう違うのか、そもそも「アート固有の領域」というものがあるとすれば、それはデ…

カレル・チャペック童話集

カレル・チャペック/中野好夫訳『長い長いお医者さんの話-チャペック童話集-』(1952年、岩波書店)こんにちは。本日はチェコの文豪カレル・チャペックの童話集をご紹介します。チャペックは大人のための文学や評論でも名高い作家ですが、とりわけ児童文学に…

魅惑の計算系動物、猫。

【BOOK REVIEW】 ポール・ギャリコ『猫語の教科書』(1995年,筑摩書房) 先日、書店にてとても面白い本に出会いました。その名も『猫語の教科書』。この本の執筆者は、なんと猫!言わば、猫による、猫のための人生(猫生?)啓発本です。編集を担当したのは…

Rocking Chair Girl

笹倉慎介『Rocking Chair Girl』,2008年 こんにちは。今日ご紹介するのは笹倉慎介というミュージシャンです。現在27歳の彼は、大学卒業後サラリーマンや珈琲屋店員を経験し、去年からは埼玉県入間市の米軍ハウスで音楽活動を続けています。入間に引っ越した…

加古里子さんの絵本

【BOOK REVIEW】 加古里子『かわ』(1962年/福音館書店) こんにちは。絵本大好きのななせから、おなじみ絵本レビューをお届けします。『かわ』は、日本の科学絵本の巨匠とも言うべき絵本作家、加古里子(かこさとし)さんの40歳のときの作品です。著名な絵本作…

絵本溺愛

【ACCORDING TO STAFF】本日は、スタッフをご紹介します。ポップアップ絵本を手に嬉しそうなのは、当ブログ執筆でおなじみのななせ。弊社では最年少ながら、国際情勢や政治の知識はダントツ。今朝も日刊新聞を手に事務所に駆け込んできました。そん感じのな…

Buena Vista Social Club

【MUSIC REVIEW】 Buena Vista Social Club『Buena Vista Social Club』,1997年 こんにちは。季節は夏を向かえ、事務所中に活力が溢れる今日この頃です。さて、今日は暑い季節にぴったりな『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』をご紹介します。“ブエナ・ビ…

Elliott Smith

【MUSIC REVIEW】 Elliott Smith『Figure8』,2000年。 こんにちは。暑い日が続きますね。いよいよ本格的な夏の訪れのようです。さて、今日ご紹介するのはアメリカのシンガーソングライター、エリオット・スミス。囁くような柔らかな歌声、繊細で優しい旋律。…

約束

【BOOK REVIEW】 那須正幹『The End of the World』(2003年/ポプラ社) 今日取り上げるのは、児童文学作家那須正幹です。那須正幹の名を聞いたことが無くても、『ズッコケ三人組』と聞けば分かる方が多いと思います。言わずと知れた同シリーズは、ハチベエ、…

ジャンボシシガシラ

【FISH REVIEW】 こんにちは。今日は魚レビューということで、世界最大の金魚“ジャンボシシガシラ”をご紹介したいと思います。ジャンボシシガシラ・・・この名前を聞いたことがありますか?一般的な金魚ショップではあまり扱われていないですし、飼育している水…

ヘルタースケルター

【BOOK REVIEW】 岡崎京子『ヘルタースケルター』(2003年/祥伝社) 岡崎京子さんをご存知ですか。1980年代〜1990年代にかけてその独特の画風と文学的な世界観で人気を博し、時代の顔として活躍した女性漫画家です。人気絶頂の1996年5月、飲酒運転の車にはねら…

ももいろのきりん

【BOOK REVIEW】 中川李枝子・文/中川宗弥・絵『ももいろのきりん』(1965年/福音館書店)こんにちは。今日は中川李枝子による童話『ももいろのきりん』をご紹介します。中川李枝子は『いやいやえん』や『ぐりとぐら』で有名な、戦後日本を代表する絵本作家です…

チェコ旅日記(3)

ドブリーデン(こんにちは)!今日は最後のチェコ旅日記ということで、チェコの文化全般についてご紹介したいと思います。まずは基本情報から。チェコ共和国は、中欧に位置する面積にして日本の5分の1程度の小さな内陸国。ポーランド、スロヴァキア、オーストリ…