2009-04-26 コーヒーカップに浮かぶ光の輪を眺めながら考えていたこと 例えば自分の表層が、やわらかい泡の粒であったら。息が身体を揺らすごとに、私を縛り付けていたあらゆる意味は、未知なる無意味の内部へ溶け出す。油断すれば、すぐに消えてしまう、波の戯れや、空に浮かぶ巨大なザリガニのような。瞬間という、得体の知れない時間の塊について考える。日常の構成物は、一瞬の連続であろうか、本当に?私は長い間忘れていた瞬間の不在に気づき、身震いする。思考は動脈を伝って、つま先ではじける。私は思い出す、やさしいコーヒーの体温を。Text by NANASE