エルサ・ベスコフとスウェーデンの童謡集

【BOOK REVIEW】

Alice Tegner/Annie Petersson/Elsa Beskow『NU SKA VI SJUNGA』(1943,Almqvist&Wiksel)

こんにちは、いかがお過ごしですか。桜の花はあっという間に散ってしまって、木々たちはすっかり初夏の装いですね。

スウェーデンの古都ルンドの古本屋さんで見つけた、童謡集「NU SKA VI SJUNGA」。初等教育の子どものための歌が楽譜付きでたくさん載っています。明るいオレンジ色の背景に白抜きの文字、シンプルな構図がとてもおしゃれ。そして何と言っても、あのエルサ・ベスコフが描いた挿画の美しさといったら…!

エルサ・ベスコフは『もりのこびとたち』などで日本でも馴染み深いスウェーデンの国民的絵本作家です。私の大好きな絵本作家の一人。彼女の描く絵やお話に共通するのは、“自然を愛し、恐れ、尊敬する心”です。私はスウェーデンへ行って、その意味がよく分かりました。野うさぎ、虫、白鳥、季節の花や木々…目の前に広がったスウェーデンの自然は、小さな時から親しんできたベスコフの世界そのままでした。彼女が丁寧に、細やかに描く自然の姿には、まるで母親のような優しくて何気ない眼差しが溢れています。

この本、どうやら1943年初版のようですが、私が買ったのは1968年版です。驚くことに、いまだ現役の教科書として使用されているらしく、街中の新刊書店では真新しいものも売られていました。紙質などは少し変わっていましたが、内容は1968年版とほぼ同様でした。世代を超えて愛されるとは、まさにこのことですね。

Text by NANASE