略画辞典/図案の手帖

【BOOK REVIEW】

左から『略画辞典』(1957年/野ばら社)・『図案の手帖』(1957年/野ばら社)

こんにちは。4月とはいえまだまだ寒い日が続きますね。マフラーをしまうのはいつになるのでしょうか。皆さんくれぐれも風邪にはご注意ください。さて、今日ご紹介するのは上記の二冊『略画辞典』と『図案の手帖』です。

左の『略画辞典』は私が物心ついた頃から我が家にあった一冊なのですが、右の『図案の手帖』は先日事務所でたまたま見つけたものです。真っ赤な表紙カバーが特徴的な二冊は、両方とも「野ばら社」という出版社から1957年に初版発行された図画集です。

私が幼き日から愛用してきた『略画辞典』は、様々なジャンルのイラストをあいうえお順に検索できるようになっています。思い返してみると、この本には大変お世話になりました。お絵かきでイメージの沸かないものがあると、この本を引っ張り出してきてはひたすら模写をしたものです。手描きのイラストはそれぞれ個性的で、どこか懐かしく温かみがあります。初版が1957年(昭和32年)ということで、ファッションや電化製品がやたらと古めかしいのも素敵です。ちなみに、イラストには突っ込みどころが満載です。動詞、形容詞、名詞、固有名詞・・・とにかくあらゆるジャンルに及んでいます。例えば「おかしい」と「オバキュー」が同じページに載っていたりします。描写も極度に主観的ですが、それも本書ならではの味わいと言えるでしょう。

『図案の手帖』の方は、よりデザイン性を重視した一冊です。あいうえお検索はできませんが、模様系が非常に充実しています。そしておそらく前の持ち主の方が書き込んだと思われる「ナンダコリャ・・・」や「アジャパー」といった一言メモ達に早くも愛着を抱いています。手に取ったとき心に伝わる温もりや物語がある、人から人へ受け継がれる古書の魅力はそこにあるのかもしれません。

古い本ですが、見かけたらぜひ一度目を通してみてください。きっと楽しい発見があると思います。

Text By NANASE