竹久夢二 大正モダン・デザインブック

【BOOK REVIEW】

竹久夢二 大正モダン・デザインブック』(2003年/河出書房新社)

突然ですが、大正ロマンって素敵だと思いませんか。激動の時代の狭間で燦然と咲き誇り、早々と散っていった一つの時代。そんな大正という時代には、今なお輝きを失わない独特の瑞々しさや生命力があるような気がするのです。もちろん実際には数多くの社会的困難や苦悩があったでしょうから、今日の平和な日本に生きる私が単純に評価して良いものではないのかもしれません。しかしそれでも(殊に芸術に関しては)、大正という時代が現代に残した功績は非常に大きいと思うのです。

さて、大正ロマンを代表する画家といえば竹久夢二ですが、今回は彼の生誕120周年を記念して2003年に出版された『竹久夢二 大正モダン・デザインブック』を紹介します。

本書は画家というよりはむしろグラフィック・デザイナーとしての竹久夢二に注目し、彼がデザインを手がけた千代紙、書籍、雑誌、化粧品、ポスターなど様々な品を紹介しています。身の回りにあってほしい、乙女心(!?)をくすぐる素敵なモノたちが満載です。意外と知られていないデザイナーとしての夢二の新たな才能を発見することのできる、はたまた大正ロマンの魅力を発見できる、おすすめの一冊です。

Text by NANASE