I LOVE HONZI.

【MUSIC REVIEW】

早川義夫・佐久間正英・HONZI『I LOVE HONZI』,2008年

先日、吉祥寺で開催された“HONZI LOVE CONNECTION”というライブに行ってきました。昨年の9月に病気で亡くなった鬼才のバイオリニスト・HONZIの追悼ライブで、出演者はフィッシュマンズの柏原譲&茂木欣一、早川義夫、中川五郎、有山じゅんじ、リクオなどなど個性派揃い。彼らは皆、生前のHONZIと深い関わりのあった人たちです。4時間にも及んだライブは大変色濃く、本当に充実した内容でした。

世代や音楽ジャンルを超えた数多くのアーティストと共演し、常に新しい、そして美しい音楽を探求し続けたHONZI。フィッシュマンズのサポートメンバーとしての業績はご存知の方もいると思いますが、彼女はソロもすごいです。遊びや悪戯といった子供っぽさの中に、突如現れる妖艶な輝き。彼女のやることなすこと全てが圧倒的な存在感を放ち、眩しいほど魅惑的で、聴いているだけで異次元へ引き込まれてしまいそうです。ソロとしては2枚のアルバムを出しているHONZIですが、これほどの才能に溢れた人の音楽をもう二度と直には聴けないのだと思うと、本当に残念です。

写真は、ごく最近リリースされた早川義夫・佐久間正英・HONZIによるライブアルバムです。早川義夫のピアノと歌、佐久間正英のギター、HONZIのバイオリンとコーラスという世代もジャンルも超えた3人の音楽が見事に重なって、全く新しい一つの世界を作り上げています。最後に収録された「I LOVE HONZI」はHONZIが亡くなる1ヶ月前に録音された曲とのこと。貴重な一枚です。

HONZIの冥福と共に、彼女の音楽がこれからも多くの人の心に届くことを祈っています。

Text by NANASE