出会いというもの


このところ、人と人の出会いというものについてしみじみ考えています。有難いことに、この2年間はPP BOOKSTOREのお客様・スタッフを始め、私生活でも本当に多くの良き出会いに恵まれました。

先日、故郷である新潟に帰省しました。いつだって田舎と都会の往来は、私に“時間の共有”という概念を思い出させてくれます。東京から埼玉・群馬を越え関越トンネルを抜けて新潟に入るとき、私はこの大地の連続性に気づき、そして時間の連続性に気づきます。故郷を離れた私も、相変わらず故郷で生きる人々も、皆同じように1日24時間という時間を共有し、毎日毎日、様々な困難や喜びを感じながら生きている。当たり前の事実のように思えますが、しかし、本当に私たちはそれを忘れていないのでしょうか?旧友や恩師、懐かしい故郷との再会は、あまりに不思議で、あまりに楽しい真実を教えてくれます。

これと似た感覚を感じるのは、海外を訪れたときです。宗教もライフスタイルも全く異なる人々との出会いの中で、私は日々、(グルスキーのレビューでも主張したような)“この世界に存在する果てしない同時多発性”に気づくのです。そして、私1人が世界の構成員ではないということ、私の築いてきた人間的評価や社会的評価などというものはあまりに貧弱で、全ては“今この瞬間の私”が何を言い、何をするのかにかかっているということ、そんなことを強く感じるのです。私はそれを思い出すとき、人間として生きる楽しさを再確認するのです。

人と人の出会いというのは、人間社会における“時間の共有”を確認する作業でもあります。その時点まで知らなかった人々が、今までも同じように、知らないところで同じ瞬間を共有し、自分の知らない感覚を育んできたという事実、そして、知らないところで互いが互いを支えあっているという事実。この発見は、違う価値観や考えを理解することへの原点であり、人と人の出会いが素晴らしい理由であると思います。

どんなときも出会いを楽しみ、出会いに感謝できる人間でありたいものです。

Text by NANASE