múmの音楽

【MUSIC REVIEW】

こんにちは。東京はすっかり秋めいてきました。そろそろ冬服を出さなくてはいけませんね。

先日、TAICOCLUBという野外イベントで、múmの演奏を聴きました。múmは2人のコアメンバーを中心としながら様々な形態で新しい音楽を作り続けているアイスランドエレクトロニカ・ユニットです。

múmの、あの多様で実験的な音楽が、日本のステージ上でどのように響くのだろう?夜風のびゅんびゅん吹き付ける海岸のヘリポートで、彼らは一体どんな演奏を繰り広げるのだろう?演奏が始まる前、私は大きな期待に胸膨らませていました。

ステージにメンバーが現れて、耳慣れたノイズが風にのって私のもとに訪れたとき、私の全身はある美しい感覚に包まれました。それはまるで、形あるものすべてが、私という感覚のために生み出されたひとつのイメージで、ごくわずかな具体性すらもたず、あらゆる意味が無意味へと溶け出すような、そんな世界です。私には、彼らの音楽が小さなステージのあちこちからカラフルな音符となって飛び出してくるのが分かりました。

私は確信しました。「そうだ、これこそが、子どものときに見ていた世界だったんだ!」一年半程前、武道館でBjorkを見たときも同じような感覚を味わいました。子ども時代の感性の問題は、私にとって大きな研究テーマです。音楽はいつだって、あの頃のやわらかな感性と透明な歓びをやさしく呼び覚ましてくれるのです。

múmといいBjorkといいSigur Rosといい、アイスランドって改めてすごい国だなあと思います。いつか必ず訪れてみたい…想いはつのるばかりです。

Text by NANASE